知る限り最も評判の悪い医者の話をしよう。小規模な急性期の病院に勤める医師だ。40歳代中盤の内科医、G先生としよう。まず風呂に入らない。すごくにおいがきつく、そのまま患者の診療をしている。そしてキレる。以前も書いたが、キレていいことは一つもない。患者、スタッフはいやな思いをして、病気の治療がそれでうまくいくこともない。評判も確実に下がる。通常医師が仕事中にキレる対象の多くは看護師だ(この点は看護師の方には本当に申し訳ない)。「指示簿やカルテを読めばわかるだろう」「今は外来中、手術中だ、電話してくるな」などが多いだろうか。自分もそういう思いはある。しかしG先生は度を超えている。まず電話は時間帯や理由のいかんによらず、キレる。第一声が「今言わなきゃダメなことか」なのだ。マジでヤバい。急変や適切な報告に救われたことは医師は何度も経験しているはずなのだが・・・。そして患者にキレる、開業医にキレる。患者には「それはうちでみることではない」が口癖、糖尿病のコントロールが悪化しようものなら「やる気がないなら病院にくるな」と患者本人や家族へいう。開業医にも「ろくな検査もせず送ってくるな」、「あなたの診断は間違っている」と時には直接電話して伝えている。そんな感じなので、持ち患者はすごく少ない。
医師は患者への接客業という言葉があるが、これについては明確に私は反対だ。しかし礼節は尽くすべきだし、患者のほとんどはプライベートで関わりのない年上の人なのだ。まあとは言えヤバい患者もいるので、気持ちはわからないではないが。そういう時は「残念ながら信頼関係を構築することができないので、他院へ紹介状を書かせていただきたいです」と冷静に伝えればよい。年に1人くらいはそうしてお別れする患者は実際いる。
開業医、勤務医が対立構造である側面はある。「そっちでやってよ」と急性期病院の医者は感じることは少なくないのだ。しかし、検査がすぐできて、入院設備もあり、他の科の医師にもすぐ相談できる。医業の上では急性期病院の医師はクリニックの医師より圧倒的に有利なのだ。それは大人の対応をすべきだろう。
同僚の医師にもキレ、時には検査技師やリハビリスタッフにもキレ・・・とにかくキレている。そんなに嫌ならやめたらよいのに。
これだけ書くと当然浮かぶ疑問が、なぜクビにならないのかという点だ。私もそう思う。しかし医師は中々クビにならない。なあなあで済まされている。営業職やスポーツ選手、大手美容整形外科など結果が給料に直接かかわる仕事に比してなんともヌルい環境だ。
昔勤めた病院でカテーテル治療のスペシャリストがいた。入院患者はほぼ0、外来もカテーテル治療をした人のみ。週5回の普通の勤務形態だが、9時-17時の間に病院にいるのはほぼ難しいカテーテル治療の時のみ。スペシャリストだったため、年収も十分保証されていた。これはこれで問題かもしれないが、G先生は特にそういうことはない。
40歳代、独身。いつかはクビになるのだろうか。ウォッチできる環境のため、行く末がどうなるかはある意味楽しみにしている。
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