私が高校生の時、ドラゴン桜というマンガがドラマ化された。阿部寛さんが主演、他に長澤まさみさんや小池鉄平さんが出演しており、かなり豪華なキャスティングだった。落ちこぼればかりの高校に赴任した弁護士桜木が東大特進クラスを立ち上げ、偏差値30台の生徒たちを東大に導くという話だった。自分の受験が迫っていたこともあり、かなり感情移入しやすかった。筆者が考える効率的な勉強方法を駆使し、劣等生たちが徐々に成績を上げ、最難関である東京大学入試を突破する・・・。受験ドリームを掴む話であり、現実味が全くないことを除けばマンガもドラマも面白かった。
少しドラゴン桜について考察していきたい。私はド田舎県ではあったが県でトップの進学校に通っていた。東大に進学した同級生も20人程度いた。ほとんどの合格者は入学時から卒業までトップ層で上位1-2割にいた。東大を受験したが落ちた、という同級生もたくさんいた。その落ちた人たちもやはりトップ1-2割におり、その進路はほぼ二つのみ。浪人して再度東大を目指すか、滑り止めにしていた早慶あるいは後期日程の旧帝大に進むかだった。現実的に東大に合格する人は、少なくとも高校1-2年ではかなり上位にいることがほとんどだ。ドラゴン桜の設定もせめて高校一年生からという設定ならかなり現実的になる。中学レベルも理解できていない人は一年で東大はほぼ不可能だ。
東大は厳しいが、一年で急激に成績を伸ばし、難関校に合格する例もある。一つは少し前に話題になったビリギャルのように、「本人にかなりの素因があり、かつ科目が限定的であった場合」だ。
たしか彼女は世界史と英語の二科目。他の受験生は併願校がある場合が多いので、彼女のように教科が絞れれば相当に有利だ。かなりの努力と地頭の良さがあって始めてなしえたことだとは思うが、本になるほど珍しいことではなく、どこの地方にもそうやって逆転して合格する人はいる。
国公立の医学部は昔も今もほとんど5教科7科目。受験指導で高校生に話すのは「相当の能力とがむしゃらさがない限り、一年では厳しい、二年かかる」ということだ。実際高校三年生時点で、全国偏差値が50を下回る人が、現役で医学部に合格したという人はとても少ない。いなくはないのだろうけど。
さてドラゴン桜には続編、ドラゴン桜2がある。これはもう少し偏差値がすでに高い生徒が一年で東大を目指す話だ。
こちらはまだ現実味がある。すでに中くらいにいるような高校生が一年間正しいやり方で勉強し難関校に入る。人は一年ならまあまあ頑張れるが、二年三年となると頑張り切れる人はぐっと減るようだ。
自分の子どもには「中長期的に勉強を続け、上位をキープして大学に進学しなさい。私がしたように1.2年猛烈にやって帳尻を合わせるような方法はコスパも再現性も低く、非効率だ」と伝えるだろう。まあそんなことを自分の子どもはできないかもしれないけれど。親がしきりに勉強しなさいとヒステリックに言っていた気持ちが親になってから少し理解できた。
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