女性医師が増えてきたことについて思うこと

昨今は医学部入学する人の男女比は1:1に近いらしい。私が入学した18年前には考えられない状況だ。優秀な人を男女関係なく医師にして、医療、医学に貢献していただくことにもちろん異論はない。私は男性だが、妻は医師で母も医師、親戚や友人に女性医師はたくさんいる。女性医師について考察してみる。

女性は出産と、多くの場合育児の主体を担う。男性も育児をすべきとさんざん言われているが、母親が育児のメインを担っていないカップルは私の周囲にはいない。その場合仕事はどうしても制限せざるをえない。子供は夜は泣くし、熱はだす。おむつもかえなくてはならないし、飯も食う。誰かが世話せねばならないのだ。一人で家に置いておくこともできない。

医師の仕事は多くの場合多忙であるし、9時-17時とはいかない。病気は時間によらないのだ(むしろ私がよく扱う気管支喘息など、夜に悪くなりやすい病気も多い)。いくら美辞麗句を並べたところで、男女平等、女性も男性と同じように、とはいかないのが現実だ。

女性医師は仕事の面においていくつかのタイプに分類できるように思う。

①男性と同じように(大半の男性医師より)働く

結婚しない、あるいは結婚しても子供を持たず、当直オンコールを通常通りこなす。このような女性医師もいる。気が強く、負けん気が強い、そして優秀・・・というイメージがあるが、むしろ穏やかで、人間性にも優れていることが多い印象だ。最後の優秀という点は多くの場合その通りである。

②産休、育休をとって、時短勤務なども使って働く

一番多いと思われる。結婚して(1/3は相手は男性医師だ)、子を産み、育てつつ仕事をする。Twitterなどオンラインではママ女医に仕事を押し付けられた話なども多い。そのため風評被害なども稀にあるが、私の周りでは「すごくよく働いてくれて大変ありがたい、元気に子供を産んで、できればまた仕事で助けてもらいたい」と思わせるような仕事ぶりの人が多い。実際時短勤務で働いてくれて、患者も医師も大変助かっているという先生ばかりだ。子育てをしながら、あるいは終わってからすごい研究をされる先生や素晴らしい臨床能力を発揮される先生もいる。

優秀かどうかはさておき、妻や母はこの選択肢をとった。

③ ②の悪い例

学会や割のいいバイトはいくが当直や重症はみたくない、でも専門医は欲しいし、私の能力を活かせる仕事を・・・と権利の主張が激しい医師だ。稀にいる。はっきり言って、自宅で育児に専念してもらいたい。割の合わない当直や、やっかいな患者を押し付けられた時などはもう出勤してこないでもらいたいとさえ思う。ネットで正当性をもって叩かれているのはこの層のみだ。少なくとも勤務時間内はしっかり仕事をしてもらいたい。

④出産前後で仕事をセーブする

例えば検診や救急のない職場に移るなど、今までやっていた仕事ではない仕事に就く場合だ。医業による身体的精神的負担を減らす方法で、育児とのバランスをとる。有力な選択肢であると思う。

⑤最初から出産や育児を見越した科や職場を選ぶ

最近の若い先生や学生から話を聞くと多くはこれに該当するのではないだろうか。あまり仕事に重きを置かず、仕事量や負担の大きさで科や職場を選択する。腹部外科や循環器内科など忙しい科に男性医師が多いのは、こういったことを考える女医が多いからだろう。

上記した優秀な人は男女関係なく医師になるという点は賛成だが、

「女性医師を増やさなくてはならない」という発想には反対だ。

そもそも大学入学や医師国家試験などは男女関係なくとった点数のみで評価されるべきと考えられる。

賛否あるだろうが、産婦人科以外の科では、少なくとも臨床の場においては女性が有利ということもないと思っている。特に一般的な出産、育児、家庭生活をイメージする場合、やはり医師は相性が悪い。「私がやらなければならない」「負担は重いが、志望者が少なく足りていない科に進もう」などと、社会全体のことを考えて進路を決める人などいないのだ。負担が少ない、稼ぎやすい科や職場にいく人が多いことは当然であり、誰も責められないであろう。

余談だが、「医師免許は嫁入り道具」と考える医師の両親もいる。結婚出産を機に医師業を半引退、あるいは完全に引退してしまう場合もある。もったいないなと思うのは私が貧乏性で、かつ、こんなに頑張って取った医師免許を使わないのか・・・と思うからなのだろうか。

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