アジアカップのイラク戦を観戦した。前節のベトナム戦からややかみ合っていない感じはしていたが、それでも10連勝中の森保ジャパンがまさか負けるとは思っていなかった人が大半だったと思われる。
まずスタメン。富安はケガの影響かスタメンから外れていたが、まあ予想通りのDF陣だった。総合力では毎熊よりも菅原の方が上との判断だろう。鎌田、田中が代表選外のこともあり、ボランチは心臓とも言える遠藤、守田。ここも予想通りだ。前線はやや不可解。引いて守る時間が多いであろうイラクに対してポストプレーに強みのある上田ではなく浅野のワントップ。さらに突破力よりも鋭いターンやフィニッシュを期待したい南野の左サイドでの起用。いくつかの疑問が残ったが、それでもまだ負けるとは思っていなかった。チーム力、個人の技量で圧倒できると思っていた。
試合開始直後からロングボール主体に背後を狙ったり、18番、17番をターゲットにポストプレイを仕掛けるイラクに面食らっていた。右サイドを突破され、クロスから高身長のFWの強烈なヘディングで先制を許してしまった。しかし残り時間は十分にあり、まだ「まあ勝てるだろう」と私も他のファン同様思っていた。最初の20分は精力的にプレスがきいていたイラクだったが、その後はペースダウン。日本がボールを持つ時間が続く。しかしパスワークでもサイド攻撃でも決定的な場面は作れない。久保は複数人でドリブルを封じられ、スピードに乗った縦への突破をみせてほしい伊東はカットイン方向に誘導される。目立ったのは伊東の突破したいスペースを菅原がオーバーラップで潰してしまったシーンだ。伊藤は左サイドの上下運動で非常に運動量が多かったがクロスの制度を欠き、南野とのコンビネーションも今一つだった。
そうして「ボールを持たされる」形でイラクの術中にはまってしまった。手数をかけないカウンターで何度かゴールが脅かされる。前半終了間際には先制点同様右サイドを突破され、18番に2点目を決められてしまう。イラクの18番は日本代表に入ったとしてもワントップの第一選択となるのではないか(負傷で前半で交代したが)。まさにイラクの理想の試合展開と言えるだろう。
後半は谷口に代えて富安を投入した。イラクのFW陣にポストプレイをやられすぎたという判断か、あるいは効果的な縦パスを最終ラインからとの考えか。そして久保をサイドに、南野を中央にポジションを変えた。しかしやはり効果的な攻撃は見られない。唯一の決定的なシーンは本職でない左サイドに移った伊東が抜け出し、浅野が合わせたシーンだが、VARでPK判定は取り消されてしまう。非常に微妙なところだが、これは浅野がPKをもらいに行っているように見えた。久保の交代は負傷だろうか。堂安、上田、前田、旗手と攻撃的な選手を投入するが、中々シュートまでたどり着けない。得意の左足にボールがこぼれた堂安や、絶妙のクロスに飛び込んだ前田のヘディングはやはり決めてもらいたい。投入された選手の中では旗手がチャンスメイクに絡んでいたが、前田はサイドの足元で受けても一枚はがすことができず、きっちりディフェンスされてしまっていた。上田も裏を狙ってはいたが、一度も効果的なボールを引き出せず。
終了間際にCKから遠藤が一点返すがそこまで。イラクに力負けした形となった。ここ10試合で平均4得点以上の攻撃力は封じ込められ、アジアカップ優勝の予想に陰りが生じた形である。
まず一つにはイラクは非常に良いチームであった。いずれの選手もハードワークを厭わず、キープ力に優れたFWがいる。チーム戦術を徹底し、カウンターで効果的な攻撃を繰り出す。特に両サイドバックとFWが印象的なチームだった。
優勝候補の呼び声が高かった日本代表だが、2位通過が濃厚となった。順当なら1位通過であろう韓国、イラン、カタールとの一発勝負のトーナメントが続く。アジアカップの面白さと言えばそうかもしれないが、サッカーファンとしては「戦術」や「ジャッジ」のせいではない力負けは見たくなかった。
しかし、予選リーグでサウジアラビアに不覚を取ったアルゼンチン代表がW杯をとっている例もある。日本代表の優勝を信じているし、私のようなサッカー好きのおっさんやサッカー少年たちの希望となるような試合を見せてもらいたい。
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