新型コロナウイルスが流行して久しい。この一年半ほどは病院の制度上、ほとんどコロナ患者をみていないが、その前にいた病院は内科医全体でコロナ診療にあたっており、自分も相当数のコロナ患者を診察した。
色々な意見があり、まだ結論が出ていない部分もコロナにはある。いくつか自分の見解を書きたい。
①日本は被害が少なかった。
世界中で流行しており、先進諸国の中では人口当たりの死亡者は最も少なかった。コロナ対策の弊害やお金のかけすぎという議論はあっても、コロナ自体の被害を少なくすることには成功したと言える。初期に抑え込みがある程度なされたため、一時期は日本が世界で一番PCR陽性者が多いこともあったが、それはそれ以前の感染者が少なかったためであり、約3年半トータルの死亡者は先進国(検査ができる医療体制のある国)では最小だ。ただあまりに弊害が多かったという意見は賛成だ。アクリル板とか全く意味ないだろうと思う。県外ナンバーの車が襲撃されるなどという話もあったくらいだ。
②ただの風邪ではない。
私はアルファとデルタの流行期にもコロナ診療にあたっていた。呼吸器内科なので、コロナ以前も原因不明のひどい間質性肺炎がきて、治療や原因検索しているうちにあっという間に亡くなる患者は年に数例は経験していた。しかしそれが毎週搬送されてくるのだ。感染力も非常に高く、致死的な肺炎にも至りやすいウイルスと言える。ワクチンや感染対策には様々な意見があるが、「ただの風邪だろ」というのはあまりに暴論と思う。高齢者が風邪をこじらせて死ぬことはコロナ以前ももちろんあったのだが、風邪ぐらいでは死なない人が死んでしまっていた。
③ワクチン、マスクについて
ワクチンは統計的に重症化リスク、死亡リスクを下げる。ワクチンの副作用で死亡したという方もいるらしい。私の患者はほとんどが呼吸器疾患を持った人なので患者に打った方がよいかきかれた場合には「私の意見を聞かれれば推奨の立場をとる。しかし副反応があり、そこは自己責任だ。ご自身で判断ください。」と答えていた。卑怯な言い回しかもしれないが、副反応が全て明らかでない以上、そう答えるしかない。幸い私の数百人の患者はほとんどが5回以上打ったが、接種時の発熱と接種部位の痛みが一時的にあった以外の副作用が出た人はいない。
マスクに関しては嫌で仕方がない人以外はつけたらよいと思う。Twitterなどではマスクがいやでいやで仕方がない人もいるようで、そういう人は・・・もういいんじゃないかな。私は今アルバイトも入れれば6つの病院に勤務しているが、医療従事者はどの病院でもマスクを今でもつけている。きっと効果は気休め程度だけれども。
④対策の弊害があまりに大きい
帰省できない、孫に会えない、友人と会えない、旅行に行けない、飲み会禁止etc。
これもTwitterからの引用だが、人間らしい暮らしは今でいう感染リスクと隣り合わせだ。無症状ならいいじゃねーかと思ってしまう。そこまで考えていたら身動きが取れない。コロナは潜伏期から感染力を持つよくできたウイルスだと思う。5類に移行し、上記のような対策を徹底している人はほとんどいなくなった。うがい手洗い、症状がある人は家で寝る。これでよいのではないか。
メリットもある。飲み会が嫌いな人やリモートワークの推進だ。まあ私にはあまり関係ないが。
数年後、コロナ騒動がどう評価されるのだろうか。
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