Jリーグをヴィッセル神戸が制した。楽天の資金力を背景に、イニエスタをはじめとする大型補強を敢行し、数年かけての優勝だ。山口選手、酒井高徳選手、大迫選手、武藤選手といった元日本代表クラスの選手をそろえており、その選手たちも実力をいかんなく発揮した。
バルセロナの黄金期を作ったのは?と聞かれると世界中の人が思い描くのはメッシだろう。個人的に印象に残っているのは最盛期のロナウジーニョだが、活躍した年数を考えるとメッシで異論はない。グアルディオラという人もいるかもしれない。私の答えはシャビとイニエスタだ。まさにチキタカを体現した選手であり、あのパスサッカーの完成形を作った二人だ。テクニックと視野で相手の嫌なところを的確につく。メッシやエトー、ネイマールといったスペシャルな選手を操るまさに司令塔だった。同様のスタイルでワールドカップも制覇している。美しいサッカーだった。
現代サッカーはあそこまで極端なスタイルのチームはない。攻守の切り替えを早くし、ボールを奪ったらできるだけ早くカウンターで攻撃する。一人または二人をドリブルで抜き去り無力化できるウインガーがどこのチームにもおり重宝される。数的優位をドリブルないしパスで作り出せる選手だ。日本人だと久保選手や三苫選手だろう。FWの守備やCBの攻撃力も求められる。守備免除が許容されていた世界的な選手はここ十年ではロナウドとメッシぐらいだ。その二人ほどスーパーな選手でもチームが不調時は戦犯扱いされることもある。
点をとる以外は何もしない、攻撃しかしない選手は現代サッカーでは通用しない。選手もそれをわかっているから求められる働きをしている。インザーギやロマーリオのような、点取り屋、ゴールのみを考えるような選手はいなくなってしまった。少し寂しい話だ。
ヴィッセルの優勝の原動力はやはり大迫選手だろう。日本史上最高のキープ力を武器に前線でボールを収め攻撃を形作る。さらに今期は得点王。フィニッシャーとしての役割も存分に発揮していた。活かし活かされる。まさに現代版FWの典型的な選手だ。今年がワールドカップなら代表招集も十分あり得る実力である。
サッカーファンとしてJリーグに、日本サッカーに流入するお金が増えて、日本サッカーがもっと盛り上がればいいと楽しみにしている。楽天がそうしてくれたように。私がシニアではなく、10代20代もいるカテゴリーでサッカーができるのもおそらくあと数年。そうして観るほうのサッカーも盛り上がってほしい。
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