医局の出口戦略について②

医局で10年前後勤めると、その先の進路についてはいくつかのパターンがあるように思う。

①大学病院でポストを得て出世する。

一昔前の王道と言われたパターンだ。自分より若い世代でこの道を希望する医師は驚くほど少ない。競争率の割に経済的に恵まれにくく、労多くして益少なしと感じる人が多いのだろう。

②開業する

新規開業や継承開業で、主にクリニック。いわゆる町のお医者さんだ。最近では在宅診療も多い。

求人で好条件なところをみると在宅診療クリニックであることが多く、儲かるのであろう。

一般クリニックは当直もなく、他の医者から文句も言われにくく、自分のやりたいようにできるため、一見最高にみえるが、スタッフを雇うことは大変そうだ。患者がこないと自分の稼ぎに直結してしまう。新規開業の場合は初期投資も必要だ。

③市中病院に勤務する。

医局人事ではなく、一般の急性期病院に就職してしまう方法だ。自分はこれ。

今までやってきた専門分野の診療を続けられ、給料も増える。しかし救急当直もあり、引き続き比較的大きな組織の中で、たくさんの医師やコメディカルとかかわっていかなくてはならない。まあ良し悪しである。

④慢性期の病院に就職する。

急性期の病院ほどの肉体的負荷はなく、救急外来も基本的にはない。一方で相場は下がり傾向だが、給料も悪くはないことが多い。よく急性期の診療に疲弊している医師の話をきくが、なぜこの選択肢が上がらないか、医師以外の人には理解しがたいかもしれない。

それはプライドがその選択肢を摘んでいるからだ。専門的な知識や技能を高次の医療機関で生かしたい。最先端の医療に触れていたい。そんな自分でいたいという思いが、高強度の診療に向かわせているのだ。経済的にはむしろ報われないことだが、やりがいや自分のプライドを優先する医師が多数派だ。昔よりは大分減ったが、それでも多くの医師があてはまるのではないだろうか。

⑤バイト掛け持ち

民間医局やM3などの求人、医局時代のつてを活かしてスポットバイトを掛け持ちする方法だ。うまくやればこれが一番儲かるかもしれない。私の地方ではあまりみない選択肢ではあるが、都会では一般的なようだ。

自分は③を選択した。まだ肺癌の診療や気管支鏡をやっていたい。急性期の医者であるという自分を子供にも見せたいと思っている。もはや自己満足の領域で、少なくとも経済的には最良の選択肢ではない。

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