Xで毎日投稿している。ありがたいことに、1000人以上の方にフォローいただき(エロ垢とか業者とか活動していないアカウントを引けばもっと少ないだろうが)、何度かいわゆる万バズをしている。
万バズをするということは多かれ少なかれ同意してくださる方もいるということだろうが、一方でたくさんの人の目に止まると批判的、攻撃的な意見も目にする。その内の一つが「医療従事者の給料のほとんどは税金のくせに(偉そうにするな)」というものだ。(偉そうにするな)の部分は「身を粉にして働け」だったり「休日時間外労働など当たり前だ」だったり、ひどいものだと「国賊」などと呼ばれる。さすがに納得できないため、反論をここに記しておく。
まず給料のほとんどは税金から出ている、という点。税金はうんざりするくらい払っているが、税金から給料が出たことはなく、勤務医の私は病院から受け取っている。「給料のほとんどは税金から出ている」という主張をする人が言いたいのはそんなことではないというのはわかる。医療費は最低でも7割は公費の負担だ。そこが原資のため、税金から、という意味合いだろう。世の多くの仕事は助成金なり税金の補助がある。特に社会インフラ系だ。「農業は国からの助成金があるのだから、よい品質のものを安く提供して当たり前だ」「電力は税金の補助があるのだから停電などありえない」「公務員の給料など税金そのもの、警察官は凶悪殺人犯の前で身を挺して市民を守ることが当たり前」となってしまう。医療従事者、私のような勤務医は単なる労働者、与えられた職務を全うし契約通りの給料を受け取るだけなのだ。税金の恩恵を受けているのはほかならぬ患者である。本来10000円かかる治療を3000円の支払いで受けられる。7000円得したのは病院ではない。患者である。
与えられた任務を全うする労働者ということを書いたが、難しいのは生きた人間が対象であることだ。少なくとも自分は「17時を過ぎた。主治医をしている患者が急変したが、契約にないため以降は当直医に任せる」といった極端な対応はしない。自分の患者が急変すれば勤務時間など関係なく診療をする。呼吸疾患で私がみる必要があれば夜中でも駆けつける。全然ビジネスライクにしていないのである。程度の差はあれど、ほとんどの医師はそうではないか。少なくとも「17時1分なのであとはよろしく」と急変した患者を放り出す医師などほとんどいない。かなり「身を粉にして」「時間帯など関係なく」働いている部類なのである。それは給料が税金から出ているからではなく、患者に対する責任感からだ。
話が逸れた。保険診療において少なくとも7割は税金で助成するというのは国の定めた国民皆保険という制度だ。3割の負担で医療を享受できる、その恩恵を受けているのは医者や病院ではなく患者である。
②に続く
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