将棋の谷川浩司元名人に勝ち越している人は羽生さんと谷川浩司の兄だけだという。年齢差があった兄が将棋を教え、最初はぼこぼこにしていたが、すぐに勝てなくなり、将棋を指さなくなったと。お兄様は後の名人に将棋を教えたという功績は大きい。
中学時代麻雀は負け知らずだった。一つ上の先輩や同級生と打って、ほぼ勝ちっぱなしだった。地元の中学で、数学や確率を全く考えずに打っている面子と、曲がりなりにも数学的なアプローチをしていた自分との差は歴然だった。高校に上がると雀荘通いが始まる。ピンの1-3、祝儀500円のまあ一般的なフリー雀荘だったが、最初は勝てない勝てない。流れがどうこういいながら無茶苦茶な全ツッパおじさんにも勝てない。ゲーム代も相まって最初は勝てなかった。そこで勉強しなおし、なんとか勝てそうになったところで受験勉強が始まり雀荘通いはいったん中断。大学入学後再度麻雀にハマり、バイト代わりになる。
麻雀のルールを覚えたのは小学校時代で、少なくとも20代中盤までは強くなり続けたと思う。しかし店を変え、レートを上げていくにつれ、勝てなくなって再度研究し勝てるようになるということを繰り返してきた。適性レートで勝てる相手とやらなくては勝てないのである。実力ではなく大事なのは対面した相手との実力差だ。これは何にでも言えると思う。県内最大規模の病院で勤めていた時は、上司からちょっと頼りない医師と思われていただろうが、ある慢性期病院では4年目で「呼吸器ご専門の先生だと伺ったので教えてほしいのですが」とこられ、その後も「肺に詳しい先生が来てくれた」となっている。実力ではなく実力差によって扱いが変わってしまっている(4年目でも、もう何年も知識のアップデートをしていない先生よりは専門分野は詳しかった)。
身の置き所は「自分が最高の実力ではないが中の上くらいの立ち位置にいられる」ところが一番幸福度が高いと思う。扱いがいいからだ。そう思ってド田舎の、呼吸器内科が不足している病院への転職を決めた。医師としての勉強は続けるし、知識のアップデートはずっと続けていく。しかし最初の立ち位置でその後の扱いの多くは決まってしまう。「最初は頼りなかったが、後に勉強して実力を上げて評価を覆した」医師は見たことがない(研修医では稀にいるが)。できる人は最初からできるしできない人はそのままだということ。それに加え、最初にはられた負のレッテルは覆すことが難しい。
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