「最近の若い者は(なっていない)」という文言は古代エジプトにもあったそうだ。私が学生であったのは10年以上前、入学したのは20年近く前だ。今ほど進級や各種テストも厳しくなく、劣等生であった自分もまずまず大学生活を楽しみつつ、ギリギリで卒業し、医師免許を取得できた。昨今は低学年から国家試験対策をするという学生も多いらしい。予備校や過去問対策が優秀すぎるせいで、国家試験は難易度は上がるのに、合格最低点も上がるという(負の)スパイラルに入っているそうだ。
飲み会について。あまり大きな声では言えないが、無茶苦茶な飲みの強要に近い文化もあった。一年生も正直飲んでいたし、低学年の飲み会は記憶が残ったためしがない。夜中2時や3時になると会場は死屍累々となっていた。コールもすごかった。今思えば自分の周りで大きな酒の事故が起こらなくてよかった。女子マネージャーと酔っぱらった勢いで、という話は毎回のようにあったし、兄弟がサッカー部内に5人以上いるマネージャーもいた。
今はサッカー、野球などのハードな運動系やウインドサーフィン、軽音などチャラめの部活で多少そういった文化は残るものの、10年前の比ではない。大人しく、法律に乗っ取って飲むようだ。社会が成熟し、学生たちも成熟した証だろう。
自分は酒があまり強くなく、今は若い時ほどの体力もないが、馬鹿な飲み会が少し懐かしかったりする。しかし昨今の若者達は大多数がそんなことはしたくないらしい。当然である。
恋愛事情について。男子大学生の半数が交際未経験という話だそうな。これは由々しき問題である。上記の飲み会は嫌悪されるのは理解できるが、男子大学生が女を欲しがらないなどはごく少数の例外を除けばありえない。いわゆる草食系ということだろうか。最も性的衝動の強い若い時期にこれでは少子化、非婚化が進むわけである。私が学生のころ、サッカー部で女性経験がない学生など1割に満たなかった。利害関係の少ない学生時代の内に、恋愛を十分に楽しむことは人生を豊かにする。
学業について。平均値は文句なく現在の学生の方が優秀だ。上記した進級や国家試験の難化、医学部は少子化にも関わらず入学が難しくあり続けていることが理由である。優秀な研修医が現場で非常に頼りになるシーンも多い。この点は本当に素晴らしいので、変わってほしくない。
以前「医学を選んだ君に問う」という文章について書いたこともあった。医学生は勉強にのみ邁進するべきと著者は言っていた。自分はそうではないと思う。高校生以前と比較して自由度の上がる大学生活を謳歌することは人生においても、医業においても大切である。学業をしっかりやることは大切だが、人生はそれだけではない。
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