生活保護の患者

生活保護は文明社会に生きるうえで必要な制度だと思う。心身の病気で(主に経済的に)生活が破綻した場合に健康で文化的な最低限度の生活を送ることができるセーフティネットである。自分もまあまあな額を納税しているが、その一部が社会経済的に現在恵まれない人に使われることはやぶさかではない。誰しもが困った時に急場を凌げるだけの蓄えがあるわけではないのだ。

医師として診療していると、生活保護を受けている患者を診療する場合がある。まあアレな人が多いのだ。非常に権利意識が強く我儘である場合が多い。「この患者さんは人格者だな、立派な人だ」と思えた人は一人もおらず、看護師に恫喝まがいの発言をしたり、療養上の注意(食事制限や禁煙禁酒など)は守られない。多かれ少なかれ、医師は、少なくとも内科医師は自分に近い感覚を生活保護の患者に持っているのではないだろうか。「ああ、この患者さんは生保か、どおりで・・・」となるケースがあまりに多い。

とは言え、上記したように必要な制度であるし、感情的な面でも困窮した人をできる範囲で助けることは別段いやではない。しかし問題点も多い。

まず医療費が無償である点。これは安易な救急車利用や不適切な受診につながっている。さらには労働している人が「この抗体製剤は高くて使えない」と言っている横で無料のためどんな治療でもできてしまう。これは医療の公正な配分として不平等だし、仕事を頑張り自分で生計を立てている人により手をかけたいのは当然の人情ではないか。ごく一部であろうが病院をはしごして薬をもらい、売りさばくというケースもあるらしい。

日本人以外にも生活保護を出している点。今の日本は恵まれない外国人まで救う余裕はないはずだ。残念ながら日本人に限定しても怪しくなってきているのに。これは人種差別ではなく、日本の制度はまず日本人から救われるべきだ。外国の方はその方の祖国でお願いします。

最低賃金や年金よりも生活保護の方が高額である場合もある。これはどう考えても不公平である。対策は思いつかない。ベーシックインカムにすべきなのか。

さらに目を疑ったニュースが生活保護受給者のデモだ。「たまには旅行に行きたい」「たまにはウナギを食べたい」などと言いながら生活保護の増額を訴えている。自分で自分の飯が食えない人がする要求ではない。人の金で飯を食うのだから、申し訳なさそうにしていてほしい。そしてこのニュースを見た人は「デモする元気があるなら働け」と思ったであろう。私は両親の教育方針で、「魚は与えないが、魚の取り方を教える。魚の取り方とはすなわち医師免許だ」と言われてきた。極端な方針と思うが、自分とその家族は自分が食わせていけるようにしたい、願わくばその食い扶持が他の人の幸福につながってほしいという意味合いだったと解釈している。最低限度の生活以上の要求は少なくとも表立ってすべきでない。最低限度は屋根のあるところで眠れて、三食食べられるくらいではないか。

生活保護受給者の多くが高齢者である。きっと死ぬまで自分の食い扶持を稼げるようにはならないだろうなという人が多い。できれば先の展望があり、生活保護から脱却できる人を支援したくなるが・・・。この点は、年老いて、病気もあり中々難しいだろう。

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