私の知るヤバい医師①

脳外科医竹田くんというヤバい医師を題材にした漫画がTwitterではやっているようで、読んでみた。かなり面白く読ませていただいた。創作なのか、モデルがいるという話もあったりその辺も興味深い。

とにかく不機嫌であったり、遅刻と昼寝が毎日、学生に手を出す、妻がいて他に彼女が5人いる、バツ7で八回目の結婚、後輩の女医を孕ませ未婚の母にする既婚医師、研修医2年目で先物投資で借金2億円・・・いずれも実在の人物である。

医師は社会不適合者と社会に適合することがとても得意な人の集合体であるように思う。

興味深いことは、上記の先生達は往々にして腕がいいのだ。近しい知人の外科医は「手術が上手い医師はすべからく人格が破綻している」「部下にパワハラしない名手はいない」とまで言い切っている。あまりに極論であるように思うが・・・

今日記載する人物、初期研修の同期である。A君としよう。

A君は成績は中の下、普通に私と同じ地方の国立大学を卒業して同大学で研修をしていた。とにかくコスパコスパ言っていた。「自分は眼科にいくので内科は必要ない」「1.2か月休んでも研修は終了できる」が口癖。とにかく負担の少ない研修科を徹底して回っていた。回診をしない、カルテを書かない、欠勤は当たり前だった。

救急当直は救急対応で周りの研修医や救急医がてんやわんやの時に起きてこず、朝「お疲れさまでした、大変だったみたいすね」といい上級医を激怒させていた。言行が一致しており、自分は嫌いではなかった。

研修各所で同じようなエピソードが頻発し、いよいよ志望科である眼科での研修になった。そこでもあまりやる気は感じられなかったようだが、少なくとも欠勤せず、3か月の研修を終えた。そして入局を希望し、断られた。

地方大学の現状を知っている人ならお分かりと思うが、入局を断られることなどほぼない。ましてや自大出身者。彼以外に当大学での入局拒否の話は、私の知る限り女子トイレの盗撮で捕まった先生だけだ。

その後、彼は地元に帰り、そこで某大学眼科に入局。患者、上級医と揉めに揉めて退局したらしい。

研修医時代、彼と一度話し込んだことがあった。「自分は勉強は得意だったが、あまりに医師に向いていない。全く臨床にやる気がもてないが、今更他の道を選択することはできない。割り切って楽に稼ぐ道を模索した結果眼科を選択することにした。一生暮らせるお金さえあればすぐにも仕事をやめる。その予定は遅くとも40歳だ」という話をしてくれた。

上記したようにどうしても彼を嫌いになれないのだ。社会不適合者であったことは間違いなく、愛想よく、周りに気に入られる、評価されるような行動ができなかったのだろう。

私も社会不適合者よりの人間で、医師免許をとっていなかったら、とるだけの学力がなかったらおそらくチンピラのようであったと思う。彼ほどではなかったため、休日の回診もしたし、カルテも書いた。興味があるフリをして志望科でないところでも研修した。興味がないことは見抜かれていたかもしれないが。

彼のエピソードを思い出すと、やっぱりヤバかったな、さすがに医師に向いていなかったのだろうなと思うとともに、どこかでうまくやっているといいなと少しだけ思う。

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