今回はヤバい患者やその家族について書いてみたい。
世の中の半分は偏差値が50以下という当たり前の事実は、多くの医師が医師免許取得後に突き付けられる。
●「主訴:喉の違和感」「嗜好歴:喫煙60本/日、飲酒 ビール 2 L/日」・・・そりゃあ喉に違和感もあるだろう。
●「自宅が古く、家が寒いので暖かくなるまで母を入院させてください。肺炎になると困るので。」
田舎ではよくいる越冬入院希望だ。田植えをしなくてはならないのでという場合も多い。本当に保険診療でそれが許されると思っているのだろうか。その入院費用の9割は健康保険の内なのだが。
●「父は90歳を超えている。こう何度も肺炎を起こすと生命に関わる。今回の入院では絶対に退院後熱が出ないように治療してください」
身内の老化が受け入れられない人も多い。誤嚥性肺炎の一番のリスクは誤嚥性肺炎の既往だ(これは多くの病気の場合でも同様だ)。
●「肺癌を黒ニンニクで治す」●●で癌が治ったというものは全て詐欺だ。二度ほどそういう民間療法で患者がボロボロにされ、戻ってきた時は手の施しようがなくなっていた経験がある。病気の人の藁にもすがる思いを悪用する業者は死刑にしても余りあるほどの極悪人だと思っている。この場合は患者やその家族がやばいというよりは詐欺師が巧妙なのだが。
●「コロナPCR陽性だった。イベルメクチンを処方してください」
なぜか特定の薬剤を妄信している人がいる。「〇〇を処方してください」はあまり医師には言わない方がよいと思う。医師がイラつくことが多いし、ほとんどの場合間違っている。患者希望通りに検査や治療をすることは保険診療では本来行ってはならない。医学的妥当性と一致する場合はもちろん別だが。コロナ騒動でそういった患者が増えた印象だ。最近は美容医療や性病治療などで患者希望通りの治療をするところが増えた。それは自由診療なので、法が許せば無問題だ。
●「挿管も胸骨圧迫も全てやれることはやって助けてください。」
これ系の発現はよくTwitterで取り上げられている。「自費でやれ」という意見が多く、私も賛成だ。自費であれば希望する人は皆無だとも思う。こういった発言をする患者家族はほとんどの場合普段世話をしていない。日常的に介護をし、世話をしている家族からはこういった発言がきかれた経験はない。
病院で寿命が近づいた親に対する無理難題をつきつけることが親孝行と思っている、あるいは周りの人間に親を心配していることをアピールしているとしか思えない。
消防士に火の消し方を教える一般人はいない。ピアニストにピアノを教えるド素人はいない。なぜか医療、医学の分野ではそれに近しいことをする人は多いのだ。。
患者には共感的態度で、暖かく接するべきだと我々は習う。自分もそう心がけているし、常識的な社会人として接するように努める。しかしどの患者にも同じ態度で、同じ姿勢で、とはいかないのが人間だろう。
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