アドリアーノという選手

史上最高のサッカー選手は誰か、という問いを世界中の人にしたとすると、一番多い答えはリオネル・メッシだろう。得点数や獲得したタイトル数からも明らかだし、何よりすごい点は、クリスティアーノ・ロナウドと共に10年以上にわたって頂点に君臨し続けたことだ。最後のW杯になるかはまだわからないが、W杯までとってしまった。歴史上最高の選手であることに疑いはない。他に名前が上がりそうな選手はベッケンバウアー、ペレ、マラドーナ、ロナウド(怪物の方)、ジダンなどだろうか。瞬間最大風速ならばロナウジーニョをおす声もあるだろう。

自分が最も憧れた選手はズラタンイブラヒモビッチだ。一人で攻撃を成立させるキープ力、得点力、周りを活かす力、どれをとっても最高の選手だ。ちょっと前に40歳で数年ぶりにスウェーデン代表に復帰、ちょっと前まで(現役時代最後のケガをするまで)はミランでも得点を量産していた。もし自分が日本代表に入れば最年長、という年齢になってそのすごさはより感じられる。残念ながら引退してしまった。引退といえばあの天才小野伸二も44歳で引退している。持久力も瞬発力も必要なサッカーでは年齢には中々勝てない。

天才、アドリアーノについてだ。インテルで活躍していた時はまぎれもなく当時世界最高のFWだった。パワー、スピード、キープ力、突破力いずれも兼ね備えており、「なんでもできる」FWというよりは「誰も止められない」という表現がしっくりくる(なんでもできる、の代表例はレヴァンドフスキやイブラヒモビッチ、スアレスだろう)。ブラジル代表でもカカやロナウジーニョらとW杯の優勝も経験している。ブラジル代表のエースと言える時期もあった。しかし王座は長くは続かなかった。父の死をきっかけとしたうつ病の発症、過度な飲酒や夜遊びで、「期待外れだった選手」ランキングでTOPになるほどだった。現在は数百億は稼いだであろう財も失い、ブラジルで最も治安の悪い地域で着の身着のまま暮らしているということだ。あのパワーと得点力がもし自分にあったとしたら、節制し、サッカーにひたすら打ち込むことができたのだろうか。日本代表として得点を量産し、長くサッカーを楽しめたのだろうか。それともスーパースターが故の誘惑に打ち勝てず、やはりアドリアーノのように身を持ち崩してしまったのだろうか。

本当に詮無い妄想ではあるが、そんなことを考える。ユニフォームを買い、左足のシュートを練習したあこがれの選手が、今は幸せであってほしい。

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