2026年ワールドカップサッカー日本代表

初戦

FIFAランキング6位、特に前線にタレントをそろえる難敵オランダが相手である。最後方には世界最高のDF、ファンダイクが鎮座する。以前も記事に書いたが2010年のワールドカップではスナイデルに1発もらって1-0で敗れている。その時はスコア以上の差があった。「守ってカウンター」という原始的な弱者の戦術をとるしかなかった。

今回はどうか。日本が攻め込む時間は2010年に比べると格段に多い。守備を持ち味とはしていない堂安がガクポとの一対一の場面が多かったが決定的な仕事はさせず、MVP級の働きをみせる。デヨング中心に老獪にポゼッションされたが、セットプレー後の流れでの失点とカットインからのゴラッソでの失点はぼこぼこにされたという印象はない。中村のゴールも素晴らしかったし、鎌田のゴールを誘発した小川のヘッドも素晴らしかった。小川は限られた時間の中、190cm台の世界的DFに囲まれながらのゴールである。準優勝候補のオランダ相手に勝ち点1は上出来と言える。

2戦目

日本はW杯本線で明確な格下と戦ったことは2度しかない。前回のコスタリカと今回のチェニジアである。前回は知っての通り、唯一勝利が計算できる相手に、唯一の枠内シュートを沈められ敗れている。今回は違った。開始から終了まで、一度も勝敗の心配をすることはなかった。ザイオンの出番はほとんどなかった。早々に先制し、その後も主導権を握り続ける。エース上田の2得点も好材料だ。結局4得点の圧勝で、新キャプテン板倉の負傷交代以外は悪材料が全くない。次代を担うであろう若者も起用できていた。実質的にこの試合で予選突破はほぼ確定、ただし、3位通過だとフランス相手が濃厚であり避けたいという状況になった。

3戦目

スウェーデンは、初戦のオランダや優勝候補筆頭のフランス、アルゼンチン、スペインなどと比べると明確に一枚格下で戦いやすいが楽な相手ではなかった。イサク、ギョケレシュ、エランダは一人で状況を打開できるスピードもパワーもあるアタッカーだ。上記の最強水準のチームと比較してトランジションがやや甘く、コンパクトでない時間が長い印象はあった。しかし、少なくとも「一位通過のために4.5点取って勝つ」といった楽観論は非現実的な相手である。日本は美しいパスワークから前田が先制点をあげ、エランダのカットインからのゴールで失点し1-1の引き分けだった。3点差でなければ1位通過にはならないため、最年長長友投入などもあり、引き分けで手を打った形である。2位通過、次戦はブラジルとの対戦となった。一位通過ならモロッコ、二位通過ならブラジル、三位通過ならフランスと、クジ運は最悪に近い。

ラウンド32

モロッコvsブラジルの予選ラウンドはリアルタイムでフルタイム観戦していた。ブラジルはやや調子が上がっていない印象があったが、実力的には両者ともにベスト4、優勝も狙えるチームだと思っていた(結局両者ともベスト16で敗れているが)。

とにかく個人の技術が高い。局面の1対1で負けない。五分五分のボールを奪取する力が強い。凋落の声もあるが、昔ながらのいつものブラジルだ。攻めどころは守備免除のきらいがあるヴィニシウスのサイドであろうか。

開始1分でブラジルの方が強いと確信する。日本は中々ラインが押し上がらず、上田めがけてロングボールを蹴るシーンが目立つ。前田のプレッシングや佐野のボール奪取力などみるべき点もあったが、ブロックを作って守り、一瞬のスキを突くほかはないかと思っていた。サイドチェンジからヴィニシウスの1対1の場面は毎度ヒヤヒヤさせられた。しかし展開は日本にとって理想的なものになる。敵陣でボールを奪った佐野が推進力を活かして持ち上がり、そのまま先制点を挙げる。番狂わせに必要なものは途切れない集中力と先制点だ。前半の1点リードは番狂わせを起こしうる展開だった。

後半に入るとブラジルは圧力を強める。両ウイングが深い位置まで持ち上がる、あるいは日本のサイドバックとボランチの間のスペースからアーリー気味のクロスを多用するようになり、日本は完全に押し込まれる。あれだけクロスが入れば失点してしまうだろうというほどのクロスを浴びてカゼミーロの同点弾を食らう。冨安、ザイオンが身体でブロックした直後のカウンターで5対3の局面があった以外は効果的な攻撃はみられなかった。クリアするので精一杯、安易なロングボールはほとんどブラジルに回収された。交代カードは両ウイングバック、ヴィニシウスをよくけん制した堂安とわずかに攻撃の糸口をみせていた中村に代え、鈴木淳之介と菅原を投入する。守備的なカードと言える。その後田中、町野を投入するが、田中がボールを必死につないで前進させようとしたほかは状況を好転させるに至らなかった。ロスタイムに自陣深い位置でのロストから失点し、最後の交代枠の小川はボールに触れる機会は与えられず、1-2で敗れた。

まだまだベスト8クラスの相手とは互角とは言い難い。そのブラジルもノルウェーに敗れ、そのノルウェーもイングランドに敗れている(2026/07/12現在)。ブラジルは10回やれば2勝5敗3分けくらいの相手だろうか。勝率2-3割を5連勝しなければ公言されていた優勝に届かないのだ。ちなみに決勝トーナメントでの勝率を30%とするなら5連勝して優勝する確率は1%をはるかに下回る。優勝はまだ遠い。カーボベルデはディフェンディングチャンピオンに一歩も引かなかった。スイスは10人になっても果敢にボールをつないだ。そうした積み重ねがいつか見果てぬ夢につながると信じて日本も繰り返していくしかない。30代後半の自分はあと何回ワールドカップがみれるだろうか。相当に長生きしても15回だ。現実的に楽しめるワールドカップはせいぜい10回。生きている内に日本の優勝がみれるだろうか。

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