私は数年前に呼吸器内科の専門医を取得した。悪名高きJ-Osler世代になる前だ。いくつかの記事に書いたが、私は決して医師の中では勉強ができるほうではない。いや、明確にできない方である。学生時代の成績は最下位に近く、実際に最下位であったこともある。CBTは下から3番目で再試験で突破した。
しかし内科認定医の試験と呼吸器専門医の試験は平均点をはるかに超えて合格していた。
また私は自分の後輩から直近3年間の試験の情報を聞き、呼吸器専門医試験の情報を入手、アップデートを続けている。趣味とささやかな医局への貢献だ。
以下のことをやれば合格は問題なくできる。
まず申請資格。
認定内科をとってから3年以上(受ける年が4年目)であること。最速なら医師7年目に受験することができる。内科認定医取得後、日本呼吸器学会認定施設での勤務が3年以上必要なので要確認だ。
論文3つ、発表3つ。どちらも一つは筆頭著者、演者が望ましいとされているが、名前が載っていればOK。論文は筆頭著者でなかったが、合格した人は複数名知っている。
指導医のハンコ、非喫煙者の署名。私は教授のハンコを押してもらった。
★臨床呼吸器講習会の受講。
受講見込みではだめなので、受験する前年までには受けておかなくてはならない。早めの申し込みを。
レポートについて。
25症例の要約。20人以上の呼吸器専門医に聞いてみたが、レポート落ち、すなわち試験に至らなかったという人は聞いたことがない。レポートの体をなしていれば、試験で点数を取れば合格は間違いない。
しいて言えば、患者の個人情報を伏せることだろうか。サマリに住所や実名が記されているところは塗りつぶして提出する。他でレポート落ちは考えにくい。
試験について。
上記の問題集をやりこむ。
上の必携の方は解説が間違っていたり、古かったり、誤字脱字が多い。おかしいと思ったところはガイドラインや呼吸器専門医テキストで調べる。
呼吸器専門医テキストに載っていないことは基本的にほぼ試験に出ない。出てもみんな解けない。アスベストの種類なんか知らねーよと思ったが、テキストにはしっかり載っていた。
通読は全くお勧めしない。量が膨大すぎる。
一問一答の方は2000問以上あったが、試験当日は全問正解できるようになっていた。この問題集をとにかく徹底することだ。2000問と聞くと多いように感じられるが、「実臨床を行っていること」「元々理解している問題も相当数あること」などから認定内科医をとって、7年以上医者をやっている人には想像より楽だ。とにかく問題ベースで勉強することだ。おそらくだが、呼吸器を専攻していない医者でも、学生時代から勉強ができた人なら、1か月程度勉強すれば試験の合格点は取れると思う。
他、頻出であり、実臨床でもウエイトの大きい「肺癌」「間質性肺炎」「気管支喘息」「COPD」「アスペルギルス」などはテキストとガイドラインを改めて読み返した。
3か月前からぼちぼち試験対策をして、ラスト2週間は追い込みたかったが、ほとんどの人がそうであるように臨床をやりながらであったため、中々大変だった。子育ても自分は加わっていた。
最後に、専門医の有無は臨床能力をほぼ反映しない。全く資格のない名医もいると思う。しかし医者同士でも医者の臨床能力を正確には評価できないので、資格がみられる場合がある。専門医の取得は経済的なメリットは少ないが、転職の際にみられたり、少なくともその期間研修し勉強したという証にはなる。
専門医不要、学位不要などとも最近は言われているが、とれるなら取った方がいいと思う(私は学位は持っていないが)。
コメント